馬産地ニュース

ばんえい記念はインフィニティーが初栄冠

  • 2014年03月26日
  • ばんえい記念を制したインフィニティーと関係者
    ばんえい記念を制したインフィニティーと関係者
  • 第2障害に挑むインフィニティー
    第2障害に挑むインフィニティー
  • 大歓声を受けながら大金星を飾った
    大歓声を受けながら大金星を飾った
  • 馬体重1096kgで出走した
    馬体重1096kgで出走した
  • 4,264人の来場者があった
    4,264人の来場者があった

 今年度開催のクライマックスを迎えたばんえい十勝では3月23日、最高峰に位置づくレース、ばんえい記念(BG1)が行われた。

 年に一度の大舞台を整えるように当日は好天に恵まれ、4,264人が来場した。場内では様々なイベントが組まれ、スタンド1階中央では矢野吉彦氏、須田鷹雄氏、斎藤修氏、古林英一氏、目黒貴子氏、浅野靖典氏、古谷剛彦氏がトークショーと場立ち予想を展開。地元・池田高校吹奏楽部、陸上自衛隊第5音楽隊は生ファンファーレと演奏会で盛り上げた。パドック開始時にはとかち青空レディがラウンドガールを務め、華やかなムードを演出した。

 帯広競馬場第11レースに組まれたばんえい記念(BG1)には、精鋭10頭が顔を合わせた。人気を集めたのは昨年の同レース3着馬のキタノタイショウで、高い実績が評価され、単勝1.3倍の1番人気に推された。2番人気以下はオッズが離れ、昨年の岩見沢記念(BG2)を圧勝したニュータカラコマ、同レース4回目の挑戦となるホクショウダイヤ、今年の帯広記念(BG1)を逃げ切ったホリセンショウと続いた。同日に行われたJRA・阪神大賞典(G2)を完勝したゴールドシップと同じ、小林英一氏所有のシベチャタイガーも出走し、こちらは9番人気だった。

 馬場水分2.7%で迎えたばんえい記念(BG1)はそり1トンをひく高重量戦。緊張感の漂う中、スタートを切った各馬は敢然と進み、難関の第2障害へと挑む。坂の手前で呼吸を整え、一斉に雄たけびを上げるようにそりを引くと、見守るファンの声援は最高潮に達する。1トンという重さが立ちはだかり、ひと腰、ふた腰ではなかなか進めず、膝を折ったり、体勢を崩したりする馬が続出。騎手たちによる渾身の叱咤激励が繰り広げられる中、最初に第2障害を抜け出したのはホリセンショウ。その後僅かなビハインドでインフィニティーがクリアし、伏兵フクドリが3番手通過で前2頭に迫る。人気のキタノタイショウは坂上でもがき、場内どよめきながらレースは後半へ。

 第2障害後はホリセンショウがやや遅れをとり、インフィニティーが先頭。そこにフクドリが襲いかかり、浅田達矢騎手と西謙一騎手による激しい叩き合いとなる。残り10mでは両馬とも限界の様相で、最後の力を振り絞って漸進。栄光のゴールラインはインフィニティーが7秒6差をつけて到達した。2着にはフクドリ、3着にはホリセンショウと入り、6→8→4番人気による決着で、3連単は50万円を超す大波乱となった。勝ち時計は4分13秒2で、全馬完走。最後に8分10秒1の走破時計でシベチャタイガーが入線するまで、観客は声援を送り続けた。

 優勝したインフィニティーは父フジエーカン、母クインフェアー、母の父ヒカルテンリュウという血統の牡8歳馬。標茶町・坂井健一氏の生産で、駒井鉄雄氏が所有している。管理する金田勇調教師は2010年のニシキダイジン以来の同レースV。初挑戦で大仕事を成し遂げた浅田達矢騎手は、ゴール後力一杯にガッツポーズを決めた。表彰式後のインタビューでは、「最高です。騎手になって良かったです。旅行でばん馬に会い、競馬場に来て、騎手の仕事に憧れて、どうしても騎手になりたいと思ってこの世界に入りました。(初めて重賞を勝たせてくれたインフィニティーは)騎手として男にしてくれた馬ですから、皆さんの期待に応えられるような、恥ずかしくないようなレースをしようと思って乗りました。馬が頑張ってくれて、インフィニティーのおかげです。最後は焦りましたが、馬を信じて頑張りました。この馬に乗せてもらった駒井さん、金田調教師、厩舎スタッフの皆さん、応援してくれるファンの皆さんのおかげで勝てたと思います。本当にありがとうございました。来年も連覇できるように頑張ります。」と、はつらつとした表情で喜びを語った。