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タニノクリスタルが死亡

  • 2013年03月14日

 北海道白老町の「ホースガーデンしらおい」で余生を送っていたタニノクリスタル(牝25歳、父クリスタルパレス、母タニノシーバード)が3月11日、腸捻転のために死亡した。

 同馬は、日本競馬史上初めてダービー父娘制覇を成し遂げたタニノギムレットの母。

 タニノクリスタルはカントリー牧場生産の静内産。3歳1月にデビューし、2戦目に勝ち上がると桜花賞(G1)トライアルのチューリップ賞に挑戦。ここでシスタートウショウ、スカーレットブーケに次ぐ3着になると、桜花賞(G1)出走に意欲を見せた陣営は、アネモネステークスに駒を進め、ここで不良馬場をものとしない豪快な追い込みでシンザン記念(G3)優勝ミルフォードスルー以下に快勝した。

 この世代の牝馬は、近年まれにみる粒揃いの世代だった。デビューから5連勝のイソノルーブル、牡馬を相手にデイリー杯3歳S(G2),そしてペガサスS(G3)に勝ったノーザンドライバー。不敗のまま桜花賞(G1)に駒を進めたシスタートウショウに、札幌3歳S(G3)優勝でクラシック戦線で堅実な走りを見せたスカーレットブーケなどハイレベルで層の厚いメンバー。タニノクリスタルもその一翼を担う存在だった。

 しかし、桜花賞(G1)はハードローテーションになり6番人気7着、オークス(G1)は7番人気6着。秋になってサファイヤS(G3)3着で健在ぶりを示したものの、結局40戦3勝で現役生活を引退。1995年から生まれ故郷のカントリー牧場で繁殖牝馬となった。

 母として、最初の産駒はJRAで5勝を記録したタニノディオーネ(牝、父ポリッシュネイビー)で、2番仔はJRA3勝のタニノカリス(牝、父ジェネラス)。3年目はトニービンを種付けしたものの産駒を得ることができなかったが、4年目にタニノギムレット(牡、父ブライアンズタイム)を生んで名をあげた。

 晩年は産駒に恵まれない年が続いたが、その後も繁殖生活を続け、22歳のときに生んだマイアミムーン(牡、父アドマイヤムーン)が最後の産駒となった。

 2012年9月にホースガーデンしらおいに移動。その後はのんびりと功労馬として生活していた。

 ホースガーデンしらおいの谷さんは「ダービー馬の母らしい、気品のある馬でした。ときおり立ち上がるなど前日まで元気いっぱいだっただけに信じられない気持ちですが、1人のホースマンとして、この馬を扱えたことは幸せでした。冥福を祈りたい」と肩を落としている。