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ステイヤーズカップはシャアが逃げ切る

  • 2012年09月24日
  • 初重賞制覇を飾ったシャア
    初重賞制覇を飾ったシャア
  • 464kgの馬体重で出走
    464kgの馬体重で出走
  • ラスト騎乗を終えて一礼する吉田稔騎手
    ラスト騎乗を終えて一礼する吉田稔騎手
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん

 9月20日、門別競馬場では長距離重賞・第56回ステイヤーズカップ(H1)[ドリームジャーニー賞]が行われた。距離はトラック1周半のダート2600m。

 今年のメンバーは3歳~8歳の14頭。ダート長距離実績馬が揃い、一昨年の覇者マキノスパーク、昨年の覇者サムライジャパンをはじめ、この条件のレコードホルダー・ビューティーリヨ、同距離・王冠賞(H2)の勝ち馬クラキンコ、ニシノファイターらスタミナ自慢が名を連ねた。他にも、中央OPクラスに在籍していたシャア、吉田稔騎手のラスト騎乗となるジョーモルデュー、岩手からはミキノウインク、高知からベルモントパッシオ、レッドライオンが遠征してきた。

 長丁場を意識して、レース序盤はどの馬も待機策をとる中、シャア、エイシンナナツボシ、ニシノファイターの3頭が他馬を引き離して先行し、隊列は15、6馬身と縦長に。1周目のホームストレッチを過ぎ、シャアを先頭に各馬淡々と進む。2周目3コーナーに入ると徐々にピッチが上がり、先行3頭はぴったり馬体を併せて火花を散らし、それを目がけてクラキンコ、スーパーパワーらが追いすがる。直線に向くとシャアが単独抜け出し、一気にリードを取って逃げ込み態勢へ。後続勢の反撃は目立たず、残り100mから猛然とサムライジャパンが伸びたが、シャアに4分の3馬身差まで迫ったところがゴールとなった。勝ち時計は2分55秒3(良馬場)。早めに先行馬を追いかけたクラキンコが3着と底力を見せ、ラスト騎乗の吉田稔騎手はジョーモルデューと中団からジワジワ伸びたものの、結果は5着。入線後はファンの前まで引き上げて一礼し、騎手人生に別れを告げた。

 優勝した川島洋人騎手は表彰式のインタビューで、「この馬の能力を信じて、道中は馬の気分を邪魔しないように騎乗しました。レース前はちょっと距離が長いかなと思いましたが、最後までしっかりと伸びてくれましたね。流れが遅くなりそうなら自分のペースを守って前へ、1周目の直線ではハミを抜いて、リラックスさせるように心がけました。最後の直線、残り100mのところで後ろと離れていたので、大丈夫だろうと思いました。気難しいところがあって、工夫しながら調整でしたが、よく走ってくれました。今季出走予定の残り重賞2戦も頑張っていきたいです。」と、感想を伝えた。川島洋人騎手は昨年、ウィードパワーとパフォーマンスのコンビで重賞4勝。新パートナーを迎え、今季待望の重賞タイトル奪取となった。

 シャアの生産は日高町門別の中川哲也さん。門別競馬場でその走りを見守っていた中川哲也さんは、「気難しい馬なのですが、道営移籍後も田中正二厩舎の皆さん、川島洋人騎手の素晴らしいケアが重賞制覇につながりましたね。牧場時代も気が強くてやんちゃな馬で、ここまでの活躍は予想以上です。今後もケガなく無事に走って欲しいです。」と、喜びを語った。牧場にはシャアの半妹となる1歳馬(父ストラヴィンスキー)が順調に育っており、中川さんによると穏やかな気性の牝馬だという。また、今回の勝利はシャアの父ツルマルボーイにとって初の産駒重賞Vとなった。