馬産地ニュース

日高町へ避難した被災馬の近況

  • 2011年10月05日
  • メジロマイヤー(法理牧場)
    メジロマイヤー(法理牧場)
  • メイショウレグナム(旧五輪共同育成センター)
    メイショウレグナム(旧五輪共同育成センター)
  • メイショウムネノリ(旧五輪共同育成センター)
    メイショウムネノリ(旧五輪共同育成センター)
  • 法理牧場には9頭が入厩
    法理牧場には9頭が入厩
  • 旧五輪共同育成センターの集団放牧の様子
    旧五輪共同育成センターの集団放牧の様子

 東日本大震災の被災馬が日高町の牧場へ避難してから約1か月以上が過ぎ、各々の馬たちは環境にも慣れ、来る北海道の寒い冬に備えて英気を養っている。

 今年4月に日高町が被災馬の受け入れを表明してから、日高町には8月9日に被災馬9頭が法理牧場(日高町緑町)へ移動したのを皮切りに、8月31日に12頭、9月6日に15頭が旧五輪共同育成センター(日高町緑町)へ入厩。到着後、被災馬は着地検査を行い、北海道日高家畜保健衛生所、日高町職員らによるスクリーニング検査(放射能被ばくの有無の確認)の結果、全馬の安全が確認されている。

 震災の被害を受け、到着当初はガレた状態で北海道入りした被災馬もいたが、どの馬も食欲旺盛で体調を崩すこともなく、ふんだんに生えた草地の上で落ち着いた生活を送っている。

 「個々の馬の特徴も掴みましたし、被災馬は皆リラックスしていますね。北海道の気候にも順応してきた感じです。」と、話すのは受け入れ先である法理牧場の法理康雄場長。同牧場には重賞勝ち馬のグラスワールド(ダービー卿CT(G3))、メジロマイヤー(きさらぎ賞(G3)、小倉大賞典(G3))も避難しており、一連のチェック完了後、この2頭についてはファンの見学も可能となっている(問い合わせは競走馬のふるさと案内所まで)。

 「受け入れ期間中はしっかり面倒をみるので、福島の方には安心して欲しい。」と、法理場長は話す。現在、同牧場では牝馬のトガミハリヤー以外、2頭ペアで放牧しており、お互い別の牧場にいた者同士ながら仲むつまじく暮らしているという。

 一方、旧五輪共同育成センターには27頭が入厩しており、重賞勝ち馬も10頭を数える。兵庫チャンピオンシップ(G2)の勝ち馬メイショウムネノリもその一頭で、牧場へ会いに行くと、興味津々な様子で顔を出してくれた。もともと現役時代は500kgを超す大型馬だったが、馬体がグッとしぼんだ印象はなく、目つきもしっかりしていた。他の重賞勝ち馬については別の機会にまた紹介していきたい。

 旧五輪共同育成センターでは多くの馬が集団放牧されているが、とりわけダメージが大きかった馬は1、2頭で放牧され、じっくりと回復に努めている。被災馬を管理しているのは昨年閉鎖された門別種馬場で長らく場長を務めていた山口幸敏さん。

 「どの馬も想像以上に早いペースで放牧地の草を食べています。ここは広さに恵まれているので、馬ものびのびと過ごしています。飼料次第で短期間で太らせることもできますが、一気に体を増やすと蹄葉炎を起こす可能性がありますからね。変化を見ながら慎重に管理していきます。」と、ベテランの腕を発揮している。

 日高町ではすでに到着した馬を含めて約50頭の被災馬受け入れを予定しており、今後も福島での出発準備が整い次第、対応を行っていく。業務を行っている日高町企画財政課担当者は、「福島からの長距離輸送もうまくいきまして、着地検査の結果も異常なく、順調に受け入れが進んでおります。被災地の一日も早い復興と原発問題の改善を願っております。」と、話している。実施にあたっては軽種馬関係者、ファンから義援金が集まっており、受け入れに必要な費用に充てられている。義援金の受付や被災馬の近況は日高町ホームページにて詳しく掲載しているので、こちらもご覧ください。

 ※日高町への被災馬避難の義援金についてのお問い合わせ
 北海道 日高町 企画財政課 (電話) 01456-2-6181
 日高町ホームページ http://www.town.hidaka.hokkaido.jp/