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新設重賞・コスモバルク記念はクラキンコが貫禄V

  • 2011年05月09日
  • 優勝したクラキンコ
    優勝したクラキンコ
  • パドックでのクラキンコ
    パドックでのクラキンコ
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん
  • 当日はコスモバルクも門別競馬場に登場
    当日はコスモバルクも門別競馬場に登場

 5月5日、門別競馬場では第1回コスモバルク記念(H2)[コンデュイット賞]が行われた。このレースはホッカイドウ競馬が生んだ国際G1馬コスモバルクの偉業を称え、今年から新設された重賞。岩手から精鋭4頭を迎えた14頭が栄えある第1回優勝馬の座を狙ってゲートインした。

 出走馬の注目は何と言っても3冠馬2頭。昨年のホッカイドウ競馬3冠を制したクラキンコと岩手の3冠馬ロックハンドスターが雌雄を決する。他にも重賞実績がある古豪コパノカチドキ、カゼノコウテイや牝馬戦線でトップクラスの実力を誇るショウリダバンザイ、JRAからの転入馬で底を見せていないチュニジアンブルーなど、見どころたっぷりのメンバーが集結。開幕早々、ハイレベルの好カードにファンも燃えていた。

 レースはダッシュ良くチュニジアンブルーが引っ張る展開。大外枠を引いたクラキンコはジワリと内に寄せながら楽に3番手に取りつく。注目ロックハンドスターは中団待機で向こう流しへ。コパノカチドキ、カゼノコウテイはクラキンコを目がけて徐々にポジションを上げていく。4コーナーに差しかかり、クラキンコの小国博行騎手は絶好の手応えに対し、他馬の騎手は懸命に手を動かしている。最後の直線、ステッキに応えて女王クラキンコは堂々と抜け出した。上位人気の地元牡馬勢が追撃するも食らいつくのが精一杯。残り100m、後方で虎視眈々と脚を溜めていた牝馬ショウリダバンザイが外から猛然と追い込むが、クラキンコが先頭を譲ることはなかった。1着はクラキンコ。2着にショウリダバンザイが入り、4歳牝馬がワン・ツーを占めた。岩手の雄・ロックハンドスターは58kgの斤量が響いたか見せ場を作れず、遠征馬では最先着の5着に敗れた。勝ち時計は1分56秒0。

 騎乗した小国騎手は表彰式のインタビューで、「クラキンコの力を信じて乗りました。優勝できてとても嬉しいです。これからも応援宜しくお願いします。」と、語った。地元の大きな期待を背負いながら、見事な完勝劇だった。

 クラキンコの生産は日高町の倉見牧場。冠名“クラ”が示す通り、馬主も兼ねている。応援に駆け付けた倉見さんは、「ホッカイドウ競馬の3冠牝馬ですからね、ファンの皆様の期待も大きかったと思います。その責任を果たしてくれる走りで、本当に嬉しいです。」と、喜びを語った。母クラシャトルは健在で、今年はダービー馬フサイチコンコルドを種付けし、無事受胎したという。門別ダート適性満点の組み合わせがたまらない。

 ナイトレースの数時間前にはコスモバルク自身が門別競馬場に登場し、パドックは見物客で埋まった。新設重賞は北海道内外からの一線級ホースが華を添え、ファンの胸を躍らせた。キャラクターこそ違うが、クラキンコはコスモバルクと並んでホッカイドウ競馬のスターホースとして、名が挙がる一頭へと成長したであろう。今年のゴールデンウィーク、門別競馬場でもスターホースの存在に酔いしれた人はきっと多かったに違いない。