馬産地ニュース

新冠町のタニグチ牧場が被災馬を受け入れ

  • 2011年04月22日
  • 被災に遭ったテンジンマツリ
    被災に遭ったテンジンマツリ
  • セレクト市場出身馬で、現役時代は4勝した
    セレクト市場出身馬で、現役時代は4勝した
  • 黙々と草を食べ、馬体は回復している
    黙々と草を食べ、馬体は回復している
  • タニグチ牧場に到着してまもなくの様子
    タニグチ牧場に到着してまもなくの様子

 東日本大震災で被災したサラブレッド1頭を、新冠町のタニグチ牧場が引き取り、同牧場分場で世話をしている。

 被災馬として受け入れたのはテンジンマツリ(セン15歳)という馬で、福島県相馬市の乗馬愛好家のもとで暮らしていたが、震災を受けて避難を余儀なくされていた。

 タニグチ牧場の谷口貞保社長は、「被災地では行き場もなく放浪している馬もいると聞き、牧場で出来ることをしてあげたいという気持ちが強くなった。」と、胸中を話す。北海道から東北地方に向かう競走馬輸送業者に依頼し、北海道への帰りに連れてきてもらい、4月7日正午に到着した。被災の影響で到着直後はやせ細っており、元気がない様子だった。よほどお腹がすいていたのか、到着日には寝わらも食べていたという。飼料は取引のある地元飼料会社が無償で提供してくれることになった。

 北海道に来てから2週間が経過し、現在は広い放牧地でのびのびと過ごしている。食欲もあり、馬体重も増えてきた。健康状態は戻りつつある。谷口社長は、「被災馬を受け入れても大丈夫だという牧場の声も聞いているし、日高でも支援の動きがもっと広がって欲しい。」と、話している。

 被災馬の引き取りにはNPO法人引退馬協会が仲介役となった。谷口社長は被災馬関連の新聞報道を頼りに同協会へ電話をつなげ、今回の支援に至った。被災馬の対応に尽力している同協会北海道事務所の加藤めぐみさんは、「被災馬の避難、移動はだいぶ進みましたが、福島の原発から30km圏内には100頭以上の馬がおり、予断を許さない状況です。引退馬協会では被災馬の飼料や輸送に関わる費用を援助していますが、現状は資金不足です。被災馬に1日でも早く落ち着いた環境を作るために、多くの方にご協力いただきたいです。」と、話している。

 詳細はNPO法人引退馬協会のホームページをご覧ください。