馬産地ニュース

コウエイトライの半妹が誕生

  • 2010年09月08日
  • ダンツビューティ2010~1
    ダンツビューティ2010~1
  • ダンツビューティ2010~2
    ダンツビューティ2010~2
  • ダンツビューティ2010~3
    ダンツビューティ2010~3
  • 母のダンツビューティと当歳
    母のダンツビューティと当歳
  • 母のダンツビューティ
    母のダンツビューティ

 先日行われた第12回新潟ジャンプステークス(JG3)を優勝し、グランドマーチス、バローネターフに並ぶ障害重賞最多タイの7勝目を挙げたのは「九州産馬の星」として長く活躍を続けるコウエイトライ(牝9歳、父オペラハウス)だ。母のダンツビューティには今年2月8日にマンハッタンカフェ産駒の牝馬が誕生している。

 本馬の母ダンツビューティは中央競馬で3勝、地方競馬で4勝、通算44戦7勝の成績を挙げ1994年より九州で繁殖入り。1996年に生まれた初仔が、後に小倉2歳ステークス(G3)を勝つコウエイロマン(父マークオブディスティンクション)だった。

 「九州産限定競走だけでなく、一般戦でも活躍できる馬を作りたい」というオーナーの伊東政清氏の思いから、ダンツビューティは当歳時のコウエイロマンを連れて種牡馬レベルの高い北海道へと渡る事となる。以後、ダンツビューティは「種付けシーズンは北海道で過ごし、出産シーズンは九州で過ごす」という繁殖生活を送っている。

 伊東オーナーの目論見は見事に的中し、ダンツビューティの一族からは6番仔のコウエイトライの他、5番仔のコウエイソフィア(父フォーティナイナー)が地方重賞のトゥインクルレディー賞を優勝。2番仔ダンツブライアン(父ブライアンズタイム)は母として、中央4勝、地方重賞の大井記念を勝ったコウエイノホシ(父チーフベアハート)を送り出している。

 ダンツビューティが北海道で種付けシーズンを送るようになってから、北海道での種付け業務などを任されているのが新ひだか町の石川栄一さんだ。”九州産のマンハッタンカフェ産駒”となる本馬については「骨量のある馬で、大きく出ましたね。牝馬なんですが、一見すると牡馬と思わせるような風格の馬体ですよ」と絶賛している。

 「半年に1度の大移動も今では慣れたもんです。毎年、鹿児島にあるオーナーの牧場で出産した5日後を目処に北海道に向けて出発します。そうするとちょうどこちらに到着する頃に1回目の発情を迎えることになります。体力を消耗する出産という大仕事を温暖な九州で行うのは馬体の回復に凄く効果があるんでしょうね。今年23歳になるダンツビューティですが、馬体からは全く年齢を感じさせませんし、子宮の回復も毎年良好です。今年は種付け1回でキングカメハメハを受胎しましたよ」と語ってくれた。無事であれば来年には”九州産のキングカメハメハ産駒”が誕生することになる。

 「コウエイ」の冠名でお馴染みの伊東オーナーの”九州産馬”には、2008年の小倉2歳ステークス(Jpn3)で2着となったコウエイハート(牝4歳、父バブルガムフェロー)が居るが、この母コウエイマーベラスもダンツビューティ同様に北海道に渡り、石川さんのご近所の牧場で種付けシーズンを送っているそうだ。(先日、2歳デビューしたコウエイボルトは”九州産のアグネスタキオン産駒”だ)

 秋に離乳を迎え、繁殖牝馬が安定期を迎える年末には九州に向けて旅立つそうだ。近年、ダンツビューティのように北海道で種付けを行う九州の繁殖牝馬が増えている。「(北海道で種付けを行っている馬は)純粋な九州産馬じゃない」との声もあるそうだが、どんな形であれ「九州の馬産を守りたい」という気持ちに変わりは無いだろう。ダンツビューティの一族には今後ますます牝系を伸ばしてもらい、九州産馬のレベル向上を果たして欲しいものだ。