馬産地ニュース

静内農高生産馬がデビュー戦優勝のユメ・ロマン

  • 2005年02月16日
  • 2003年ユメロマン市場落札記念
    2003年ユメロマン市場落札記念
  • 静内農高喜びの万歳
    静内農高喜びの万歳
  • ユメロマンの出産シーン
    ユメロマンの出産シーン
  • 母サクラトキメキと現部員たち
    母サクラトキメキと現部員たち
  • 当歳時のユメロマン
    当歳時のユメロマン
13日の東京6R3歳新馬戦で道立静内農業高校(静内町田原)の生産馬ユメロマン(牡、父ジェネラス)が快勝。飼養1頭の実習繁殖馬産駒の快挙に、校内はもとより応援してきた地元関係者の笑顔が広がる。


 当日、担当する同校馬術部員、平野校長をはじめとする学校関係者が同町目名のレックス事務所に集まりテレビでの応援となった。発走時刻になると異様な緊迫感が漂う。無事ゲートインしてスタートすると「行けー」と歓声が沸き、一瞬の沈黙のあと、馬群の中団にいた本馬が抜け出すと「そのままー」「もっと行けー」と立ち上がり、握る拳に力が入る。見事押し切りゴールを駆け抜けると「ヤッター」「凄ごーい」といっきに喜びが頂点に達した。そこに「ヤッタ、ヤッター」とひときわ大きな声で喜びの輪に入ったのが、PTA会長の小倉氏だ。(小倉牧場、昨年9.26オールカマー、トーセンダンディで重賞初制覇、当ホームページ掲載)
 歓声と拍手が続く中、平野校長は「信じられないが、これでお世話になった方たちに少しでも恩返しが出来ました。」生徒たちも「本等に勝っちゃうなんて凄い。」「ダービーもユメではないですね。」と顔を紅潮させていた。

 新馬戦の勝鞍は、どの牧場にとっても大切な目標だが、この快挙には応援をしてきた牧場関係者の喜びも大きい。
 その一人で生徒の実習を受け入れ、なにかと相談にのってきた新和牧場の谷岡社長は、本馬の母サクラトキメキを、馬主さんと交渉の上、同高校に寄贈した協力者。今回の優勝に「参ったね、お株を取られちゃったよ。」と話しながらも満面の笑み。これから馬産界で働く予定の若者に夢を持たしたいと願う同社長は、「サクラトキメキはアンバーシャダイが(肌に)入り、環境に適応性があるので、やっていけると思った。生徒たちも一生懸命やっていましたから。」と大満足そう。(新和牧場は、今回サクラセンチュリーで鳴尾記念、日経新春杯と重賞2連覇、当ホームページ掲載)

 本馬は北海道市場取引馬だが、セリで鑑定台に立ち本馬の上場に「どうか若者の夢をかってください。」と訴えた日高軽種馬農協中橋市場事業部長は「嬉しいですよね。セリでは暖かい声がかかり250万円までせり上がって田中春美さんに落札して頂きました。息子さんの勝春騎手騎乗で勝てたのもまた何かの縁ですね。」と。愚者も落札された時の生徒たちの喜びの表情は今でも忘れていない。
 また、同農協の荒木代表理事組合長も「希望の湧くことですね、牧場後継者として若い人たちには頑張って貰いたい。ダービーに向けて夢を追い続けて欲しい。」とエールを送る。

 本馬は、同校でサラブレッドを扱ってから初めての中央デビューでの快挙となったが、生産育成は、家畜科の原、稲原、加藤3教諭の指導のもと、馬術部員が中心となって実習作業として行われている。
 本馬の快挙に兄弟も気になるが、母サクラトキメキの肌にはアンバーシャダイ、サクラユタカオーが入る楽しみな血統をもち、2歳の半弟(父ラムタラ)はホッカイドウ競馬に既に入厩しデビューに向け調教に入る、1歳の半妹(父タニノギムレット)も同町で中期育成中という。今年はアグネスデジタルの仔が4月に誕生する予定ということで、兄弟の将来の活躍もなかなか侮れない。

 寒い日高に、明るい話題をもたらした本馬と若者たちに、皆さんも暖かい応援をお願いいたします。