GRANDAME-JAPAN 2013 優勝馬のふるさとを訪ねて ロジータふたたび。

3歳シーズン総括(エイシンルンディー)

3歳シーズン総括(エイシンルンディー)

古馬シーズン総括(アスカリーブル)

2歳シーズン総括(カクシアジ)


「グランダム・ジャパン2013」3歳シーズンチャンピオンに輝いたエイシンルンディー

「グランダム・ジャパン2013」3歳シーズンのチャンピオンは、笠松のエイシンルンディーに決定した。愛知・ウォータープライドとの激しいポイント争いを制し、見事に第4代のグランダム・ジャパン3歳女王に輝いた。

今年の3歳シーズンは第7戦の「のじぎく賞(園田)」を終え、エイシンルンディーが29ポイント、ウォータープライドが27ポイントと、最後まで上位2頭による大接戦が繰り広げられたが、最終戦の「関東オークス(Jpn2)(川崎)」にウォータープライドが出走せず、一方のエイシンルンディーはしぶとく掲示板を確保して5ポイントを加算。最終的には2位ウォータープライドに7ポイントの差をつける34ポイントを獲得し、第3戦の「ル・プランタン賞(佐賀)」に優勝してトップに立ったエイシンルンディーが、他馬の追撃を許さずに最後まで逃げ切る形となった。


エイシンルンディー(ル・プランタン賞(佐賀)優勝)

エイシンルンディーは、「グランダム・ジャパン」3歳シーズンの指定競走全8レース中、浦和・佐賀・水沢・園田・川崎の各地へ遠征して計5レースに参戦。そして、5着、1着、2着、7着、5着と堅実な戦績を収め、着実にポイントを加算していった。3か月弱の期間に遠征を重ねながら5戦を戦えるのは、馬が健康で丈夫なうえ、輸送や環境の変化にも動じない精神力を持ち合わせている証拠。将来、繁殖牝馬として仔を産んでいくことになるであろうエイシンルンディーにとって、それは大きなセールスポイントとなる。

「グランダム・ジャパン」3歳シーズンのチャンピオンを初年度から振り返ると、エレーヌ(笠松)、マンボビーン(兵庫)、メイレディ(兵庫)、エイシンルンディー(笠松)と、笠松所属馬&兵庫所属馬が女王の座を分け合っている。その4頭に共通するのは、佐賀の「ル・プランタン賞」へ遠征して優勝し、15ポイントを獲得していること。4年連続して同レースの優勝馬が3歳チャンピオンになっているのは見逃せない事実であり、来年以降も「ル・プランタン賞」への注目度は高まりそうだ。

そして、今年の「グランダム・ジャパン」3歳シーズンで最も特徴的だったのは、各レースの優勝馬がその後、同世代の牡馬と戦って互角以上の結果を残していること。


ユメノアトサキ(のじぎく賞(園田)優勝)

第7戦「のじぎく賞(園田)」優勝のユメノアトサキは、次走に「兵庫ダービー(園田)」へ挑戦して見事に逃げ切り勝ち。「菊水賞(園田)」と合わせ、兵庫クラシック二冠馬に輝いた。

第1戦「若草賞(福山)」と第6戦「東海クイーンC(名古屋)」に優勝したウォータープライドは、「東海ダービー(名古屋)」に参戦し、こちらも1番人気に応えて世代の頂点に立った。

また南関東でも、第4戦「東京プリンセス賞(大井)」優勝のカイカヨソウが、ハイレベルな「東京ダービー(大井)」で強力牡馬勢に混じって4着と健闘。第5戦「留守杯日高賞(水沢)」優勝のハードデイズナイトは短距離路線に切り替え、「優駿スプリントトライアル(大井)」優勝をステップに、本番の3歳重賞「優駿スプリント(大井)」も制覇している。

「グランダム・ジャパン」3歳シーズン各レースの優勝馬たちが、各地域、各カテゴリーで牡馬を負かし、世代トップホースへ飛躍している現状は、牝馬の価値向上を主たる目的とするグランダム・ジャパンシリーズにとっても、たいへん喜ばしい事実である。ラブミーチャン、クラーベセクレタなど、中央馬とも互角以上に戦える強い牝馬が主役の時代は、これからも地方競馬でしばらく続いていきそうだ。


ウォータープライド(東海クイーンC(名古屋)優勝)

ここで、「グランダム・ジャパン」3歳シーズン各レース優勝馬の血統を振り返ってみよう。

まず、それぞれの父馬を見てみると、サウスヴィグラス産駒が2頭(ハードデイズナイト、ユメノアトサキ)、マイネルラヴ産駒(ウォータープライド)、キングヘイロー産駒(イチリュウ)、ゴールドヘイロー産駒(エイシンルンディー)、ティンバーカントリー産駒(カイカヨソウ)、ネオユニヴァース産駒(アムールポエジー)が各1頭となっている。

サウスヴィグラスは、ラブミーチャンやナムラタイタンなど、ダート短距離を得意とする快速馬を多数輩出。昨年の「グランダム・ジャパン」シリーズでも、コテキタイ、ミスシナノ、ハニーパイと3頭の産駒が指定競走に優勝している。それら産駒の活躍により、2012年は地方競馬におけるリーディングサイアーを獲得。2013年も前半を終え、リーディングトップの座を守り続けている(6月30日現在)。サウスヴィグラス自身は、6歳~7歳にかけて重賞を6連勝し、7歳秋のJBCスプリント(G1)を制しているだけに、その産駒たちにも今後の更なる成長力が期待できそうだ。


カイカヨソウ(東京プリンセス賞(大井)優勝)

一方、3歳女王に輝いたエイシンルンディーの父ゴールドヘイローは、南関東で競走生活を送ったのちに種牡馬となった異色のサンデーサイレンス直仔。その代表産駒には、今年のダービー卿チャレンジトロフィー(G3)、鳴尾記念(G3)と中央の芝重賞を2勝しているトウケイヘイローや、門別デビューの後にJRAへ移籍して芝レースでオープンまで駆け上がり、6歳夏にホッカイドウ競馬へ戻って道営記念を制したモエレビクトリーなど、その活躍の場はダート競馬に限らない。生産者の城地清満さんも「父によく似ていた」と幼少期を振り返るエイシンルンディーには、万能型であるサンデーサイレンスの血が濃く受け継がれているものと思われ、今後も幅広いシーンでの活躍が期待できそうだ。


ハードデイズナイト(留守杯日高賞(水沢)優勝)

さらに、各レース優勝馬のクロスを調べてみると、ハードデイズナイト、ユメノアトサキ、カイカヨソウの3頭には、5代までにミスタープロスペクターのクロスが発生している。ミスタープロスペクターの直仔キングマンボからは、日本の競馬で活躍したのちに種牡馬としても大成功を収めたエルコンドルパサーやキングカメハメハやが出現。そしてエルコンドルパサーからはヴァーミリアン(フェブラリーS(G1)、ジャパンCダート(G1)などダートG1を9勝)やアロンダイト(ジャパンCダート(G1))が、キングカメハメハからはタイセイレジェンド(JBCスプリント(Jpn1))、ハタノヴァンクール(ジャパンダートダービー(Jpn1)、川崎記念(Jpn1))、ホッコータルマエ(かしわ記念(Jpn1)、帝王賞(Jpn1))と、近年の交流G1を制する大物が続出している。「グランダム・ジャパン」の舞台でも、時計の速いダートを得意とするミスタープロスペクター系の特徴が如何なく発揮されていると言えそうだ。

今後は同世代だけではなく、上の世代の強豪馬にも挑戦していくことになる3歳牝馬たち。今年の「グランダム・ジャパン」3歳シーズンがハイレベルだったことを証明するシーンが、全国各地のレースで繰り広げられていくことだろう。


エイシンルンディーの生産者・城地清満さん(左)と息子の芳信さん(右)


グランダム・ジャパン