馬産地コラム

アンライバルドを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション

  • 2016年04月27日
  • アンライバルド
    アンライバルド
  • 積極的に放牧地を歩き回る
    積極的に放牧地を歩き回る
  • 繁忙期に向けコンディションは整っている
    繁忙期に向けコンディションは整っている
  • 隣の放牧地にはブラックタイド
    隣の放牧地にはブラックタイド

 シンボリクリスエス、ヴァーミリアン、ローズキングダムなど数々の名種牡馬が在籍するブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬生活を送っているアンライバルドを訪ねた。

 父ネオユニヴァース、母バレークイーン、母父Sadler's Wellsという血統のアンライバルドはリーチザクラウン、ブエナビスタ、スリーロールス、エーシンビートロンというハイレベルなメンバーと新馬戦に出走し快勝。年明け初戦の若駒Sを圧勝すると、初重賞挑戦となったスプリングS(Jpn2)も難なく制し、クラシック初戦の皐月賞(Jpn1)でも押し切って、父に初G1勝利と皐月賞親子制覇をプレゼントした。父ネオユニヴァースはきさらぎ賞(G3)、スプリングS(G2)、皐月賞(G1)、ダービー(G1)、などを快勝し2003年最優秀3歳牡馬に輝いた。母バレークイーンは愛国産馬で、全兄に英GIデューハーストS(T7F)の勝ち馬 Prince of Dance がいる。

 「フサイチコンコルド、ミラクルアドマイヤ、ボーンキングなど、アンライバルドの代々の兄達がみんなこのスタリオンで活躍してくれていた馴染みのある血統なんです。種牡馬として一番下の弟まで来てくれて嬉しかったですよ。縁を感じますね。」そう話してくれたのは同スタリオンの坂本教文場長。慣れ親しんだ血統を思い笑みがこぼれる。

 「元々テンションが上がりやすい血統、アンライバルドも含め兄弟みんな共通していて似ているなと感じました。でも10歳になったので少しは丸くなったのかな。スタッフも兄弟に携わって来て扱いには慣れたもので、すっかり手の内に入れている感じです。人間に対して攻撃したりするような事は全く無いですし、手を煩わせない従順な性格の子なんですよ。可愛い馬です。」アンライという愛称で呼ばれて大切にされている様子が目に浮かぶ。

 種付けシーズンも繁忙期に突入し、同スタリオンは朝から来客や馬運車があとを絶たない。初年度産駒の活躍もあって5年目を迎えるアンライバルドの今期は忙しくなりそうだと坂本場長は現状を教えてくれた。「体調も良く、元気いっぱいですし種付けも上手です。フサイチコンコルドも上手でしたがそれに近いところがありますね、センスが良いです。種付けを煩わせるようなところは全くありませんよ。今期はすでに30頭への種付けを終えていますが、産駒のトウショウドラフタがファルコンS(G3 中京 芝 1400m)に勝利した事に興味を持って頂いたおかげで種付けの頭数が増えています。」

 「産駒の特徴をみると、気性が前向きな仔が多いと感じます。スタートも良いしスピードもある。これから先、産駒の頭数が増えて行けば、もっともっと良い仔がでるのではという手ごたえを今、感じているところです。種付けの頭数に関しては決して恵まれたスタートを切った馬ではないのですが少ない産駒の中から重賞に勝つ産駒が出てくれて嬉しいですね。トウショウドラフタの活躍は、スタッフ一同で喜んでいます。私達は種付けをするだけですが、その後お産をして育てて育成してと、色々な方たちの手がかかって競走馬となり活躍する姿を観られるのは嬉しい限りです。アンライバルドには、今まで信じて毎年種付けをしてくれた方や、産駒の活躍で興味を持ってくれた方など、生産者の期待に応え良い産駒を送り出せるよう頑張って欲しいと思います。」サイアーとしてブレイクする可能性が高まったアンライバルド。その産駒たちの活躍に期待したい。