馬産地コラム

オウケンブルースリを訪ねて~イーストスタッド

  • 2014年12月09日
  • オウケンブルースリ
    オウケンブルースリ
  • 雪を掘って牧草を探す
    雪を掘って牧草を探す
  • 生活している厩舎
    生活している厩舎
  • 隣の放牧地で過ごしているのはメイショウサムソン
    隣の放牧地で過ごしているのはメイショウサムソン

 2008年の菊花賞(Jpn1)に優勝したオウケンブルースリ(9歳、ノーザンファーム生産)を訪ねた。2013年1月に引退し、現在は浦河町にあるイーストスタッドで種牡馬として生活している。

 イーストスタッドの青木大典場長はオウケンブルースリについて「競走馬の時は、菊花賞(Jpn1)を優勝したレースと、ジャパンカップ(G1)で大外からすごい末脚を使って僅差だったウオッカの2着のレースが印象的で、非常に強い馬だというインパクトを受けました。」と話してくれた。ともにオウケンブルースリを語る上では欠かせない代表的なレースだ。「引退式が終わってからすぐにこちらに来ました。実際に見てみると、引退して間もない事もあって体は競走馬そのものでしたが、体調も良く元気でした。身のこなしが素軽そうで、走る距離が長くても持つイメージがすぐに浮かびました。」

 オウケンブルースリは父ジャングルポケット、母シルバージョイという血統。3歳の4月に福島競馬場の未勝利戦で遅めのデビューとなったが、そこから500万下特別、1000万下特別と3連勝を飾り、神戸新聞杯(Jpn2)ではディープスカイにコンマ1秒差の3着に入り菊花賞(Jpn1)の優先出走権を手に入れた。臨んだ菊花賞(Jpn1)では後方から外を回してどんどんポジションを上げて一気にクラシックの頂きに立ち、デビューしてからわずか半年でサクセスストーリーを実現した。

 「馬体は、最初の種付シーズンを終えた頃から変わって来ました。来年は3シーズン目。その間、夏に青草をたっぷり食べて運動し、もう十二分に種牡馬らしい体型になりましたよ。」一流種牡馬の風格を漂わせた美しい栗毛、華やかな顔立ちのオウケンブルースリがそこにいた。ジャングルポケット産駒らしく気が強く、気合が入るタイプだと言うが,今は放牧地でのんびりと草を探して雪を掘っている。「交配シーズン中はお客様の要望があればいつでも対応できるように、コンディションを万全に整えています。今は、年が明けたらすぐに次シーズンが来るという心構えで準備を進めています。」

 今年は、オウケンブルースリのオーナーにとっての夢の配合が実現したと青木場長が教えてくれた。「同時期に活躍していた重賞勝ち馬のオウケンサクラとの配合が実現しました。両馬とも重賞勝ち馬の自分の繁殖牝馬と種牡馬を配合するなんて、オーナーにとっては夢のまた夢なのですが、それが実現できて素晴らしい事ですね、この場に立ち会えて幸せを感じていますしこの先の活躍もとても楽しみです。」なかなかできる事ではない経験をした喜びを次に繋げたい青木場長。「今シーズンの産駒は少なかったのですが、その中で個性を出して行けたらと思っています。」

 待望の初年度産駒は2016年にデビューする。楽しみで胸が躍るが、産駒デビューの前からブルースリはとても人気者で目当てに会いに来てくれるファンの多さではメイショウサムソンを凌ぐ勢いだそうだ。ファンから頂くお守りの数はダントツ第1位。あまりにたくさんのファンが会いに来てくれるので人気馬タイキシャトルが入っていたという厩舎から割と近めの放牧地に移して対応したという。ファンに今でも変わらず愛され続けているオウケンブルースリ。栗毛で、どこから見てもすぐにわかる流星がある子供が誕生し、またサクセスストーリーを実現する日が待ち遠しい。