馬産地コラム

ラヴェリータを訪ねて~ノースヒルズ

  • 2014年07月16日
  • ラヴェリータ
    ラヴェリータ
  • 一層母親らしい姿になってきた
    一層母親らしい姿になってきた
  • 今年生まれてた当歳馬(牡、父ディープインパクト)
    今年生まれてた当歳馬(牡、父ディープインパクト)
  • ラヴェリータは今年もディープインパクトを交配している
    ラヴェリータは今年もディープインパクトを交配している

 ダートの強豪牝馬として重賞7勝をマークし、新冠町のノースヒルズで繁殖生活を送っているラヴェリータ(アメリカ産)を訪ねた。

 今年8歳となるラヴェリータは芦毛馬。現役時代と比べて更にまた、体全体に白さを増してきた。春にはリーディングサイアー・ディープインパクトとの間に、第2番仔を出産した。

 「この春、元気な牡馬が誕生しました。安産でしたし、母仔ともに健康に過ごしています。」と、紹介してくれたのは、同牧場ゼネラルマネージャーの福田洋志さん。写真撮影のために展示してもらうと、スタッフの指示に素直に従い、日高山脈を背景に凛とした立ち姿を見せた。昨年の初仔(牝、父ゴールドアリュール)の子育てを経験し、ラヴェリータはどこか余裕のある表情。一層母親らしい雰囲気を醸し出していた。

 さかのぼって、ラヴェリータのデビューは2008年の夏。後の重賞馬としては意外にも、新馬戦は13頭立ての9着というほろ苦いものだった。3戦目にしてダートに矛先を変え、4馬身ちぎって初勝利を挙げると、能力を開花させるようにオープンまでトントンと出世。3歳春に関東オークス(Jpn2)を射止め、暮れには国内ダート戦線の最高峰・ジャパンカップダート(G1)に駒を進めた。古馬となってからは中距離重賞を中心に全国で走り、牡馬相手に名古屋大賞典(Jpn3)を快勝したり、牝馬同士のエンプレス杯(Jpn2)、TCK女王盃(Jpn3)、スパーキングレディーカップ(Jpn3)を3連覇したりと、ダート界を代表する牝馬として輝かしい成績を残した。通算成績は31戦11勝。G1(Jpn1)こそ2着、4着と勝利はならなかったが、安定した先行力や勝負根性、頑丈さを武器に生涯で3億円以上の賞金を獲得した。

 第2の馬生、繁殖生活は3年目に突入し、現在は2番仔と離乳までの間、母仔濃密な時間を過ごしている。

 「生まれた当歳馬は芦毛で、しっかりした馬格をしています。母同様、大柄な競走馬になるかもしれませんね。気性は従順で、手のかからない馬です。もちろん、将来を楽しみにしています。」と、福田さんは当歳を紹介する。同父・同牧場生産馬で日本ダービー馬となったキズナのように、クラシックを意識させる良血の配合がたまらない。

 ラヴェリータは今年もディープインパクトを種付けし、受胎している。有名馬らしく夏はファンに見学公開をしており、今年もその予定を組んでいるという。福田さんは、「順調に出産・受胎しているので、繁殖牝馬として頼もしい存在です。ラヴェリータの仔も大きな舞台で活躍できることを願っています。」と、期待を込めている。

 母系からは今年の東京ダービー優勝馬ハッピースプリントが現れ、活力は十分。砂上で轟かせたその名が、母として再び浮かび上がる日まで、ファンとともに心待ちにしたい。