馬産地コラム

スマートロビンを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2014年05月13日
  • スマートロビン
    スマートロビン
  • まだ競走馬らしい雰囲気を残している
    まだ競走馬らしい雰囲気を残している
  • 大柄な馬体が特徴
    大柄な馬体が特徴
  • 優駿SS繋養種牡馬初となるディープインパクト産駒
    優駿SS繋養種牡馬初となるディープインパクト産駒

 新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬生活を始めているスマートロビン(飛野牧場生産)を訪ねた。昨年9月に同SS到着後、新しい環境にも慣れてきて、順調に第2の馬生を踏み出している。

 「初めてディープインパクト産駒を迎えることになりました。父に比べると馬っぷりがあり、大柄ですね。サンデーサイレンス系種牡馬としては気性の荒さはなく、賢いです。まだ6歳と若く、競走馬としての雰囲気も残していますが、徐々に種牡馬らしくなっていくでしょう。現在は種付けを勉強している段階で、一つ一つ覚えさせています。センスは良く、確実にステップアップしていますよ。」と、近況を語ってくれたのは、優駿スタリオンステーション主任の山崎努さん。種牡馬としての道のりを築くべく、現場で0から作り上げていく過程には、苦労と安堵の色がにじんでいる。

 クラシック血統で知られるダンシングキイのファミリー出身のスマートロビンは、2008年生まれ。主な勝ち鞍は4歳時に制した目黒記念(G2)で、ダイヤモンドS(G3)は僅差3着、出世レース・エリカ賞、阿寒湖特別の勝ち馬でもある。現役時代を管理していた松田国英調教師が種牡馬展示会でPRしていたように、ディープインパクト産駒にしては数少ない530、540kg台の雄大な馬格で、恵まれた体を生かし、栗東の坂路でバリバリと鍛えられた。のどに不安のあった影響で大成できなかったものの、芝中長距離をこなす幅広い距離適性、果敢に逃げ・先行を打ちながら繰り出す上がり33、34秒台の伸び脚は、大舞台に通じる能力の片りんを示していた。

 初年度の種付料は受胎確認後30万円or産駒誕生後50万円で、同期スタッドインのエスポワールシチー、ロジユニヴァースと類似し、リーズナブルな価格帯だ。サンデーサイレンス系種牡馬は競合相手が多いものの、自身が果たせなかったG1制覇を産駒に託したい。

 「ボリュームだけでなく、ラインやかたちも綺麗な馬なので、仔出しの良い種牡馬になると思います。競走成績や血統からクラシック・ディスタンス向きは確かですし、大物を十分狙っています。」と、山崎さんは声を弾ませる。近年、フルに競走生活を送られなかった素質馬・良血馬が、種牡馬として成功を収めている。ストーリーはこれから。悔いをバネにし、可能性を信じてまた新しいドラマが始まる。スマートロビン産駒がディープインパクト産駒を相手に、互角以上に戦うシーンだって、やがて現実味を帯びるのではないだろうか。山崎さんから発せられた“大物”という言葉に、この馬にふさわしい大きな含みを感じずにはいられない。