馬産地コラム

アポロキングダムを訪ねて~レックススタッド

  • 2014年02月07日
  • アポロキングダム
    アポロキングダム
  • 大柄な馬体が特徴
    大柄な馬体が特徴
  • 元気があり過ぎるほど健康状態は良い
    元気があり過ぎるほど健康状態は良い
  • 種付けではかなり気合いが入る
    種付けではかなり気合いが入る

 新ひだか町のレックススタッドで種牡馬生活を送るアポロキングダム(アメリカ産)を訪ねた。昨年暮れ、初年度産駒アポロマーベリックが中山大障害(J・G1)を圧勝し、JRA賞・最優秀障害馬を受賞。3世代目のアポロスターズはカンナSを制して朝日杯フューチュリティS(G1)に駒を進めた。サイアーランキング総合で、2011年は303位だったのが、2013年に78位まで押し上げ、目下、成績アップの著しい注目の種牡馬だ。

 現役時代は2歳秋のデビュー。520~540kg台の大きな馬体が特徴で、芝ダート問わず入着を果たし、通算11戦2勝。レモンドロップキッド産駒のJRA勝利第1号となった。2008年より日高軽種馬農協門別種馬場で種牡馬入りし、2010年からレックススタッドで繋養されている。

 「今年で11歳になりますね。元気があり過ぎるぐらいの馬で、かなり気性は強いです。種付けの時は猛獣みたいなんですよ。扱いには細心の注意を払っていますが、私の経験から、そういうタイプの種牡馬は成功していますからね。受胎率も良いですし、丈夫な馬です。」と、紹介してくれたのは、レックススタッドの泉山義春場長。気温の低い1月は馬服を着せて放牧し、春の種付けに向けて体調を整えている。食欲旺盛で、放牧地では与えられた乾草をもしゃもしゃと食べる。相変わらず馬っぷりが良く、ワイルドな雰囲気を持っている。

 種牡馬同士となると競走成績はパンチ薄だが、その立派な馬体や血統は可能性を見出す。父がベルモントS(G1)の勝ち馬レモンドロップキッドで、その父は名種牡馬キングマンボ。キングカメハメハやエルコンドルパサーと同じく、日本で実績十分のブランドだ。母の父はトップサイアー・ディープインパクトとの好相性が話題のストームキャットで、サンデーサイレンス系との配合にも明るいイメージが沸いてくる。キングマンボ系×ストームキャットの配合は昨年の年度代表馬ロードカナロアと同じ構成でもあり、日本の馬場適性に富んだ背景が魅力だ。

 初年度から毎年30頭前後の交配をこなして、じわじわと産駒成績は上昇。出走した産駒の4分の3が勝ち上がり、JRA・メイクデビュー勝ちも4頭を数える。手ごろな種付料にしては弾んでいる成績が、静かに評判を呼んでいる。

 「仔出しは良いと聞いていますし、産駒は芝もダートもOK。短距離~中距離までやれますね。2歳戦から能力全開でいける馬が多く、今の競馬番組にも合っています。」と、泉山場長は分析する。国内外のビッグレース勝ちを引っさげ、きらびやかな競走成績を誇る種牡馬の産駒と交じって、アポロキングダムの息子・娘は確かに初陣を飾り、未勝利戦を飾り、コツコツと白星を得てきた。積み重ねた小さな勝利が、父の看板に光を射している。

 「脚元の関係で競走馬時代に無茶をしなかったことが、今となって吉と出ているような気がします。馬はとてもフレッシュなので、これからも長く種牡馬生活を続けていけるでしょう。昨年は27頭の交配頭数でしたが、今年はその倍は目指していきたいです。アポロマーベリックで中山大障害(J・G1)を勝てたので、今度は平地のG1ですね。」と、泉山場長は意気込んでいる。新たにシンジケートも組まれ、2月の種牡馬展示会では改めて馬体を注視する生産者も多いだろう。才能開花の裏付けは確かで、コストパフォーマンスの高い種牡馬としても推せる。時代のニーズに沿いながら、彼の威力はメキメキと発揮されようとしている。