馬産地コラム

ヨハネスブルグを訪ねて~JBBA静内種馬場

  • 2013年09月09日
  • 日本初年度産駒が活躍中のヨハネスブルグ
    日本初年度産駒が活躍中のヨハネスブルグ
  • 円熟期を迎えた種牡馬の雰囲気を醸し出している
    円熟期を迎えた種牡馬の雰囲気を醸し出している
  • 今後の活躍も大いに期待されている
    今後の活躍も大いに期待されている

 2013年9月1日集計による総合2歳サイアーランキング(中央、地方)のトップにたったヨハネスブルグを、JBBA日本軽種馬協会静内種馬場に訪ねた。

 やや深みのある鹿毛馬。しっかりとした骨格と容量のある後駆が印象的。年が明ければ15歳になる馬体は円熟期を迎えた種牡馬の雰囲気を醸し出し、そこから生み出される歩様は柔らかさの中に力強さを感じさせる。

 引いて出され、立ちポーズを決める。自分の役割を理解しているかのように引手の指示に従う。

 「賢い馬です。放牧地なんかでは種牡馬らしい気性を見せることがありますが、扱う人間の手をわずらわせることはありません。クールモアグループの年間最多種付記録を持っているように、種付けに関しても上手でタフ。競走馬時代同様に優等生です」と同協会の小宮山獣医師が教えてくれた。

 ヨハネスブルグは父ヘネシー、母ミス、母の父オジジアンという血統の米国産馬。現役時代は10戦7勝。2歳戦に限れば7戦7勝。アイルランドの名伯楽、A .オブライエン厩舎に所属し、2歳5月にアイルランドでデビューすると、愛国、仏国、英国の2歳G1レースを制覇。欧州に敵なしとみると米国へ飛び、BC ジュヴェナイル(G1)で当時不敗の5連勝中だったオフィサーを一蹴。負け知らずの7連勝で、1991年のアラジ以来、史上2頭目の欧米2歳チャンピオンになったのだ。

 年が明けた3歳シーズンは不本意な成績だったが、2003年から米国のアシュフォードスタッドで種牡馬入り。シーズンオフには豪州でも供用されて、南北両半球の人気種牡馬となった。産駒は、とにかくよく勝つ。産駒をデビューさせた2006年に北米ファーストシーズンサイアーランキング勝馬数第1位となると、2010、11年は2年連続で米国総合リーディングサイアーランキング勝馬数第1位。欧州、米国、南半球でもG1勝馬を送り出しているほか、アルゼンチンやシンガポールなど多くの国で重賞勝馬を送ってきた。

 そして日本だ。詳しくは馬産地ニュースに掲載した「2013年2歳新種牡馬のJRA重賞初制覇はヨハネスブルグ」にゆずるがまさに「名馬、国を選ばず」だ。

 そんなヨハネスブルグを前に日本軽種馬協会静内種馬場の中西信吾場長は「(産駒の活躍は)嬉しいというよりも、ほっとしています。この馬を信じてくださった方々の期待に応えることが出来て嬉しいです。すでに南北両半球で産駒活躍中だったにもかかわず、交渉のテーブルについてくれたクールモアグループにも感謝したい」と声を弾ませる。

 「放牧するときも、厩舎に戻すときも1番でなければ機嫌が悪くなるほどのボス的気性です。そんなところも頼もしいですし、海外での産駒は距離の延長にも十分対応できています。日本でも同様の活躍を期待したい」と夢を広げている。